教養教育:教育

[2009.02.24]  2009:02:24:12:36:06
アカデミー賞受賞スピーチと文化共生

アカデミー賞の授賞式をTVで見ました。『おくりびと』の受賞には、中高時代の同級生が出演していることもあって、心がはずみました。(O君、おめでとう!)

オーストラリア人のヒュー・ジャックマンが司会をつとめたセレモニーはスムーズで、なかなか印象的な受賞スピーチもありました。

中でも異彩を放つのは、やはり、ショーン・ペンです。

前回の受賞時に、「俳優にわかっていることは、イラクに大量破壊兵器がなかったことの他には、演技にベストなんてないということだ」とスピーチした彼は、今回、冒頭に、Thank you. You commie, homo-loving sons-of-guns. と笑わせて、型どおりに、謝辞に移った後、
for those who saw the signs of hatred as our cars drove in tonight, と続けました。
私の見た放送では分かりませんでしたが、会場の外には、彼の出演作に関わる同性による結婚の問題をめぐって、敵意を露わにした人々の姿もあったのでしょう。
ペンの主張は明快で、その立場に曖昧さは微塵もありません。
We've got to have equal rights for everyone.
その力強い主張は、アメリカの最上の部分であり、同時に、アメリカがアメリカであり続けるための絶え間ない闘争の場でもあります。
ペンは言います。
I'm very, very proud to live in a country that is willing to elect an elegant man president

もっとも、その大統領の使う We が アメリカ人だけでない everyone の意味で使われるまでには、まだ少し時間がかかりそうです。人権は普遍の原則にたたなければ護ることは難しいわけです。だからこそ、「世界人権宣言」のようなものがとても重要になるのです。同時に、人間は、ある文化的コンテクストの中でしか生きることができないわけですから、ある生態環境の中の文化的なコンテクストと普遍性的な価値が対立するようなことがしばしば起こります。文化的なコンテストの中に含まれる、さらに深層の普遍性を丹念に読み解きながら、憎しみや差別の壁をたたき壊していかねばなりません。文化共生は多様性をなくすことでは成立しないのです。

言葉は世界の切り取り方と同義です。ですから、アカデミー賞のような、極めて限定的な人々によって運営される賞に、「外国語による映画」の賞が置かれていることの意味はとても大きいと思います。映画は、「世界は様々に切り取ることができる」という事実を共有することができる、大切な芸術のひとつなのです。